日中交流伝える展覧会 知見や成果語る

古代の日中交流をたどる中国・北京での展覧会を評価したパネル討論

 日中国交正常化50周年を記念し、奈良県と中国・清華大学が共同で昨年、北京の同大学芸術博物館で開いた「日中交流二千年 アジアをつなぐ美と精神」展。その成果などを語り合う記念シンポジウムが2月2日、東京・有楽町朝日ホールであった。

 

 展覧会には高松塚古墳壁画と法隆寺金堂壁画の精密な複製陶板や銅鏡などの考古資料が奈良県から約110件、遣唐使だった吉備真備が書いた銘文を刻んだ墓誌など古代日本にゆかりのある中国の文物約70件が出陳。

 

 9月下旬から70日余りの期間中に約1万6千人が訪れ、ライブ配信は23万人が視聴するなど好評だったという。

 

 シンポジウムでは荒井正吾知事ら主催者と在日中国大使館からの来賓があいさつした後、県立橿原考古学研究所の坂(ばん)靖主任研究員が展覧会の様子を動画で紹介。古墳時代の副葬品や6世紀の仏教伝来に伴う仏像・絵画などの資料と中国の文物が類似し、日中交流の長い歴史を知らせたと報告した。

 

 清華大教授で博物館常務副館長の杜鵬飛氏は基調講演の中で「『倭人』とはっきり書いた文物は中日交流の証し」と述べたほか、オンラインによる9回の学術講座に延べ193万人が参加したと公共教育面での効果の大きさを強調した。

 

 「日中交流の原点を探る」をテーマとするパネル討論では、「中国でもっと良いものが出る可能性がある」と期待する発言があり、荒井知事は「今度は奈良県で展開できたら」と意欲を示した。