今度は「硬膜動静脈瘻」 検査入院つらかった

 「硬膜動静脈瘻(ろう)」という病名で武蔵野市の武蔵野赤十字病院に検査入院した。

 

 この病気、脳を覆う硬膜を流れる動脈が静脈に直接つながる近道ができ、動脈の血液が脳に行かずに静脈から心臓に戻ったり、静脈から脳へ逆流したりするようだ。

 

 昨年7月の脳出血の経過観察でMRI検査をしてわかった。担当医は無用な不安をかきたてないように配慮してか「脳出血の原因になっている可能性がある」としか言わなかったが、かなり珍しい病気らしい。

 

 検査入院は当初1泊2日だったが、もともと腎臓の機能がよくないうえに、脳血管のカテーテル造影検査が腎臓に負担をかけるということで1日増え、9月13日~15日となった。

 

 検査は2日目。方法は前回と同じという。局部麻酔を施し右足の付け根から管を入れ、造影剤を注入する。1時間以上、あおむけで身じろぎしない苦行。

 

 検査室からストレッチャーで病室のベッドに戻っても、翌朝まで右足を動かせない。上体を起こしてもダメという。

 

 水を飲みたいときは、左の膝を立て、体を右にひねり、曲がったストローでカップの水を吸う。うまく飲めるものではない。2口、3口であきらめる。小用は尿瓶(しびん)を使う。尿意を催すたびにナースコールで看護師に来てもらう。

 

 不自由極まりない体位にイヤイヤ感が募り、水を含んだりイヤホンで携帯ラジオを聴いたりと気分転換を試みるが、どうにも気持ちが落ち着かない。得体の知れない不安に襲われる。

 

 10時の消灯時刻を過ぎると、あきらめの一方でどうしても「眠りたい」気持ちが抑えきれず、朝までの時間の長さを思うと胸がつぶれそう。深い所で苦いものを感じ、看護師に吐く準備を整えてもらった。

 

 明け方、30分もウトウトしただろうか。明るくなった部屋で担当看護師の来るのが待ち遠しい。7時過ぎ、同室の患者はもう朝食が運ばれているぞ。叫びだしたい気分。

 

 医師が来て右足の付け根に貼ってあった強力なテープをはがした。看護師は右足首をベッドの柵に結わえ付けていたひもを解いた。トイレへ行こうとした。1回目だけ看護師が付き添う。なるほどベッドから立ち上がると、ふらついた。とにもかくにも、やっと訪れた自由。

 

 同室の患者よりも遅れて出てきた朝食は、かゆと大根のみそ汁、副菜が豚肉とキャベツ・ニンジンの炒め物、カリフラワーとレタスのサラダ、それと牛乳。

 

 前日、夕食が出なかったにもかかわらず、食欲は全くと言ってよいほどなかった。量の少ないみそ汁以外は2、3度、はしやフォークを運ぶのがやっとだった。

 

 最後に点滴が外された。退院手続きの説明があった。今後、治療は2回に分けて行うことになり、1回目の入院日が決まった。今度は全身麻酔という。今回の悪夢が再来しないことを祈るばかりだ。