2度目の脳血管手術 苦しみ少し減ったけど

退院前日、最後の夕食。16回の配膳のうち1回だけおかゆを残した

 脳に酸素や栄養を運ぶ動脈が、頭蓋骨(ずがいこつ)の下にある硬膜の静脈と直接つながることで、動脈血液が逆流し脳出血脳梗塞を引き起こす原因になるという「硬膜動静脈瘻(ろう)」。その危険性が見つかり、動脈からと静脈からの血管内手術を受けた。

 

 入院は11月1日から8日までの8日間。手術は2日目にあり、手術室に入ったのは午前9時、脳卒中集中治療室(SCU)には午後3時に来たという。

 

 手術は全身麻酔で行われ、ガスを吸っているうちに意識を失った。事前に担当医から聞いていたのは、足の付け根からカテーテルという細い管を入れ、悪さをする血管のつなぎ目を特殊な物質でふさぐというもの(塞栓術)だ。

 

 静脈からの手術は「状況を見て」ということだったが、無事行われたようだ。SCUで、手術に立ち会ったという看護師が「先生が『勝った』と言っていた」と教えてくれた。この一言は入院生活の大きな心の支えになった。

 

 退院手続きの直前に脳神経外科の診察室で、担当医は「完璧」という言葉で手術の成功を表現し、静脈でモヤモヤしていた術前のMRI画像とモヤモヤの消えた術後の画像を見せてくれた。

 

 10月の入院経験が生きて、物理的にも精神的にも窮屈な生活は幾分緩和できた。星新一の文庫本は1冊読破したし、眠気が来ない夜の睡眠薬の服用も2回で済んだ。ただ、薬の効き目は前回同様さっぱりだった。

 

 それでも不眠の理由が以前よりわかりかけてきた。老いや死と真面目に向き合おう。せっかく脳出血のリスクが遠のき、「『80歳の壁』を前に」との対談イベントの招待状も届くという運に恵まれたことだし。