長編2席 ついウトウト 志の輔独演会

 立川志の輔独演会が10月21日、三鷹市公会堂であった。

 

 志の輔は、NHKテレビの「ガッテン!」の司会者として知っていたが、高座を見るのは初めて。テレビでの落ち着きぶりが印象づけられて、吃音(きつおん)で間(ま)をとることが多いのは意外だった。声を落とした時、聴き取りにくいのは公会堂という広い空間のせいか。

 

 ま、大人気の噺家(はなしか)だから料金が高いのと会場が広いのは仕方ない。それでも3カ月も前に往復はがきで応募し、抽選に当たらなければ見られないとは、志の輔ファンにとって厳しかろう。

 

 満席の会場を見て志の輔は「三鷹独自のシステム。全国的にこの方法にしてくれたら」と話して笑いをとっていたが、私は笑ってよいものかためらった。

 

 独演会は前半・後半とも弟子に10分から15分の短編を話させ、「ディアファミリー」と「徂徠(そらい)豆腐」を演じた。

 

 どちらの演目も初めて聴く、45~50分の長編だ。長年勤めた会社を退職した父親の帰りを迎える家族のドタバタ劇を描いたディアファミリーは、あろうことかオチを聴き逃した。徂徠豆腐は、始めと終わりはしっかり聴いたものの、中間の展開はほとんど記憶がないという体たらく。

 

 病み上がりのせいか。いや、そうではないような。とにかくこの話は志の輔師匠には聞かせられない。でも落語会の場合、演目発表はたいてい終演後なので、チケットをとる時点で噺(はなし)の長短がわからない。困ったものだ。