下町と山手 江戸最古級の七福神めぐり

谷中七福神めぐりのゴール、上野・不忍池弁天堂は30分待ちの長い列=1月6日正午すぎ

弁財天の石像を岩穴にまつる=1月8日、東京・目黒区の蟠龍寺

 コロナ下ですっかりなまった体力が少しは回復することを期待し、年初、東京都内の二つの七福神めぐりツアーに参加した。

 

 1月6日は谷中七福神、8日に山手七福神。後で気づいたのだが、前者は「江戸最古」、後者は「江戸最初」を旗などにうたい、長い歴史を誇る。下町と山手の対比も面白い。

   ◇

 谷中七福神めぐりは西東京市の主催。体力づくり教室の一つで先着80人を募り、午前8時に西武新宿線田無駅北口に集合。4班に分かれ、9時半、JR田端駅から東覚寺(福禄寿)~上野・不忍池弁天堂(弁財天)の約7キロを歩いた。

 

 3連休の初日、しかも日中はポカポカ陽気が予想されたが、出発が早かったせいか午前中は各寺への人出は少なかった。昭和レトロな雰囲気が人気の谷中銀座商店街は店舗の多くが準備中で、先頭のグループは約20分間の自由時間を持て余し気味。

 

 それでも正午過ぎにたどり着いた不忍池はさすがに家族連れなどでにぎわっており、弁天堂の参拝まで30分待ちだった。

 

 このコースには4番目の長安寺(寿老人)と6番目の護国院(大黒天)が靴を脱いで本堂に上がらなければならず、足腰の弱い高齢者などにとって混雑時の拝観は厳しそうだ。

 

 参加者の安全・安心を守るため先導する班長らスポーツ推進員や市職員は3回以上現地を訪れ、順路やトイレ、休憩場所などを確認したという。自動体外式除細動器AED)も携行して手際のよい引率ぶりではあった。

 

 しかし寺や七福神の特徴を要約した小冊子を配布しただけで見どころなどの現地ガイドはほとんど聞くことがなく、官製イベントの物足りなさを残した。

   ◇

 「元祖山手七福神めぐり」は大手新聞社の主催。募集20人のところ、12人が参加した。この種の日帰りウオーキングは、昼食込みの場合、インターネット申し込みで9900円(税込み)。

 

 遠方からの参加も見込み集合時刻は午前11時、東京メトロ都営地下鉄白金高輪駅の出口3地上。いつものようにNPO法人東京シティガイドクラブの人が付き、ガイドレシーバーに説明を送ってくれる。

 

 白金高輪駅からは覚林寺(毘沙門天)~瀧泉寺恵比寿神)の6寺をめぐり東急東横線不動前駅で解散する約3.5キロ。

 

 片側4車線の広い目黒通り沿いに、10分かかないほどの間隔で三つの寺があり、目黒通りについても「江戸時代は尾根道でした。周りは大名の下屋敷」とガイドの説明が耳に入ってくるから、歩いている間も退屈しない。

 

 3カ所を参拝しビストロで昼食。大きなローストビーフがメーンディッシュだった。

 

 後半は明暦の大火の火元となった大圓寺(大黒天)から修験者が行き来した行人坂の急坂を下る。坂上からはビルの谷間に富士山がほんの少し頭をのぞかせ、坂の途中には有名な芸能事務所のホリプロがあった。

 

 蟠龍寺(ばんりゅうじ)は岩穴に弁財天の石像をまつり、「岩屋弁天」と呼ばれている。異質な音楽スタジオを備えているのも面白い。

 

 最後に訪れた瀧泉寺(りゅうせんじ)は、「目黒不動尊」と言った方が通りがよいかもしれない。恵比寿神は仁王門の両側にのびる塀の外側の、門からもかなり離れた小さなお堂に安置されている。

 

 この日は石像が堂の外に鎮座して存在を主張していたが、大本堂や水かけ不動への人出と見比べ、七福神めぐりの期間が過ぎれば不遇をかこつのではないかとあらぬ心配をするのだった。