「お寺は変わりつつある」 未来の住職塾・松本紹圭さん語る

イメージ 1 武蔵野大学仏教文化研究所の今年度第1回の公開講座が5月3日、西東京市の武蔵野キャンパスで開かれた。新しい発想で寺の経営改革を進める僧侶、松本紹圭さん(34)=写真=が「お寺の未来」の主題で語り、約100人が聞き入った。
 松本さんは東京・虎ノ門の寺に墓地や東京タワーを見ながらくつろげるオープンテラスを設けたり、インターネット上に寺を開いたりしているほか、宗派を超えた学びの場である「未来の住職塾」塾長を務める。
 外から見ると、寺は面白くない。なにやら難しそう。菩提寺でもないと入りにくい――。そこで気軽に来てもらうオープンテラスを都心の寺で始めたが、「うちではできない」とほかの寺には広がらない。松本さんは方法論が足りないことに気づき、インドでMBA(経営学修士)を取得。帰国して未来の住職塾を始めた。
塾は1年制で、やるべきことをとことん議論し、最後に「寺業計画書」を作る。寺がどう見えているのかについて内外の関係者に匿名アンケートを行う「360度診断」もある。開塾3年で、住職の奥さんや檀家総代を含め約250人が卒業したという。
 仏教界にある宗派というタテ割りの壁や同じ宗派内でもバラバラな住職の意識も、「寺の運営」という切り口によってやる気のある人がつながり、「寺は変わりつつあると断言してよい」と話した。
 また寺の可能性について(1)葬儀や結婚式に本堂を生かす(2)グループホームの開設など地域との連携(3)永代供養塔など新たな受け皿をつくる「ポスト檀家寺」―を挙げた。