「日本、家の列島」展 建築家・五十嵐淳氏がトーク

 札幌在住の建築家、五十嵐淳氏が5月12日、東京・新橋のパナソニック汐留ミュージアムで開催中の「日本、家の列島」展(同館と朝日新聞社主催)で、自分の作品と建築についての考え方を語った。

 五十嵐氏の作品は、「リポジトリ」(倉庫風)と名付けた北海道旭川市で建てた個人住宅。会場には50分の1の家の模型と写真パネル、五十嵐氏と建て主へのインタビューが展示され、映像でも紹介される。

 旭川は年間の気温差が70度以上あり、建てる場所は広大な農地に囲まれた宅地500平方メートルという環境で、「予算以外は制約がなかった」が、依頼を受けて完成まで5年を要したという。

 五十嵐氏は、日本の住宅から失われていく縁側の機能を取り入れたり、自然界に直線は少ないとの観察から家の角を丸くしたりと設計に当たっての考え方を語りながら、エコロジーへの配慮など今の社会状況に対応した建築設計では「100年後にはその時代のサンプルにしかならない」として、現実社会や過去からの決めつけに捉われない姿勢を強調した。

 この展覧会はフランス人の建築家や写真家が企画し、日本の近現代の住宅約70軒の中に伝統的な文化などを見出している。参加する建築家によるギャラリートークもあり、五十嵐氏は9人(組)目。主催者は「今日が一番の盛況」と話した。6月25日まで。