東京・文京区 文化財の寺社と文人ゆかりの地を歩く

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 西東京市ウオーキング協会の11月例会は17日、東京都文京区の文学者ゆかりの地や文化財の寺社などを巡る約9キロのコースで行われ、22人が参加した=写真は湯島天神

 東京メトロ丸の内線御茶ノ水駅1番出入り口付近を午前9時半ごろ出発。

 寺社の出だしは、孔子をまつる湯島聖堂から江戸総鎮守の神田明神、合格祈願で人気の湯島天神とメジャーな名所が続く。湯島天神では菊まつりが開かれ、菊の花びらを浮かべた「菊酒」と、乾燥小菊に湯を通した「菊茶」がふるまわれた。

春日通り(国道254号)を西へ進み、徳川家光の乳母で大奥制度をつくりあげた春日局の墓を麟祥院(りんしょういん)に訪ねる。石塔の上部の四方に穴が開いているのは、「死後も世の中がよく見えるように」と言い残したからだとか。

午前の最後は、作家樋口一葉が幸せな幼少期を過ごした家「桜木の宿」が隣にあったという法真寺。日傘をさしてベンチに腰を掛けた銅像の一葉はなかなかの美人。ツーショットを撮ってもらう男性がいた。

 東京大学生協の中央食堂で昼食をとり、午後は最初に本郷キャンパスと道1本隔てた西教寺の赤門を見た。東大の赤門が、加賀藩主が徳川将軍家の娘を妻に迎えて建てた習わしと同じ理由という。ただ、なぜ明治になって徳川家の重臣の屋敷から移築されたのかは不明だそうだ。

 西教寺からはツツジの名所・根津神社と、江戸開城の功労者・山岡鉄舟が創建した全生庵(ぜんしょうあん)を訪ねた。全生庵の墓地には山岡家と、鉄舟とゆかりの深い落語家・三遊亭円朝、維新で国事に殉じた人々が弔われている。

 このコースの所々には文化人が残した足跡も多い。本郷2丁目の春日通りに面した理髪店の2階が、石川啄木が東京で初めて家族と住んだ「喜之床(きのとこ)旧跡」。

 一葉は「桜木の宿」のほかに、炭団坂(たどんざか)を下りた住宅街の小路の奥に旧居跡、菊坂に出て少し下ると生活苦で何度も通った旧伊勢屋質店。跡見学園女子大が取得し、土・日曜の午後に無料で公開されている。

日本医科大学医学部棟隣の同窓会館は夏目漱石旧居跡。『吾輩は猫である』の舞台であり、『坊ちゃん』などの名作もここで生まれた。「猫の家」と呼ばれていたためか、塀の上を歩く猫の姿が像になっていた。

森鷗外が暮らした家の跡には文京区立の森鷗外記念館が建つ。今回は裏門から入って庭を抜け、表通りに出るだけ。道の下に汐見小を見て団子坂上に出る。坂下をさらに直進、全生庵の後、六角堂のある岡倉天心記念公園が最後の見どころとなる。

このほかにも文京ふるさと歴史館を見学し、東大では農学資料館や「ハチ公と上野英三郎博士の像」を見たりしており、坂の多さと相まって濃密な1日例会となった。


JR日暮里駅付近で午後3時前に解散した。(下の写真は樋口一葉が世話になった旧伊勢屋質店の店舗兼住宅と土蔵、東大弥生キャンパスにある「ハチ公と上野博士」の像)
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