<農業講座日記> 農業委員会の仕事から見える西東京市の農業(1月28日)

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都市農業を支える生産緑地だが、ジワリと宅地化が進む


 講座30回目の1月28日は、農業委員会と農協についての勉強会が谷戸公民館であった。主に農業の実践指導をしてくれる保谷隆司さんは、西東京市農業委員会の委員長職務代理とJA東京みらい(東村山・清瀬・東久留米・西東京の4市を管轄)で理事(非常勤)を務めており、興味深い内容だった。

 

 農業委員会が扱う代表的な案件は、農地法に定める相続、転用、売却の三つ。耕作する農地面積が合計50アール以上にならないと農地は買えない。新規就農や面積を増やしたい小規模経営の農家のネックになっている。この下限を割ると、農地として親から子への相続もできなくなる。

 

 市内でも「生産緑地地区」の標識を立てた農地を目にする。何年かすると転用され、駐車場や住宅に―。生産緑地は30年間の営農義務があるとはいえ、固定資産税の税額が宅地並み課税の農地より「趙安」なのには驚いた。

 

 ただ生産緑地の転用は基本的に一生に一度しかできず、他者に売却する人は家計が窮地に追い込まれているケースが多いという。

 

 農地を宅地に変更する届け出の面積をまとめると、平均で1年に2~3ヘクタール。一昨年は約4.5ヘクタールにのぼった。このころの市内の農地面積は約140ヘクタールだから、割合としては大きく、「農のある風景」はどんどん消えていることになる。

 

 一方で、都市農業をめぐる明るい話もあった。生産緑地を貸せる仕組みの法律ができ、市民団体に動きが出てきたという。農家が自分の農地を利用して市民農園を開設できる法改正があり、市と協定を結べば生産緑地も活用できる。これらの審査、決議も農業委員会の仕事だ。

 

 農協関係では、肥料や種苗、農業資材などの迅速な調達や税務相談を理由に「農協は必要」と話した。田無支店は敷地内に新たに「西東京支店」として建設し、市との窓口も保谷支店から西東京支店に移すと述べた。