府中用水と「ハケ」の湧水を訪ねる

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 北多摩自然環境連絡会の「府中用水とハケの湧水探索」が7月29日、立川公園から矢川緑地保全地域、ママ下湧水、城山公園などを経て谷保天満宮に至るコースで行われた。小雨の中、21人が参加した。
 立川市柴崎市民体育館を回り込んで根川緑道に入り、貝殻坂橋まで緑道を進む。下水処理水が流れる人工の小川だが、童謡にうたわれるような心休まる風景。貝殻坂橋を渡り東隣の国立市に入り、この日の目玉の一つ、府中用水の取水口へ。米軍立川基地からの排水路だったという水路跡を左に見て斜面を右へ下りると、多摩川からの水がそう広くない川幅で流れてくる。この先に、閉まっているのか開いているのかわからない扉が並ぶ取り入れ口(秋の収穫期まで通水)があった。水面にポリ袋などのごみが集まり、ちょっと興ざめ。用水はこの先、谷保南部を通り、府中までの田畑を潤す。
 取水口から戻り、住宅街の道を北上し、矢川緑地に入る。穂を付けたガマの群生が印象的だ。この地域の湧水が矢川の源流となっている。矢川は国立第六小学校の敷地を流れ、学校田で苗が青々と育つ。この上流でも下流でも魚の群れが素早い動きを見せていた。アブラハヤだという。農家が野菜などを洗うために作った石段や洗い場が川岸に何カ所も残っている。
 甲州街道に出ると、しばし矢川と別れ、古墳時代の石積みの石室を復元しある四軒在家(しけんざいけ)公園に立ち寄ってママ下湧水へ。ママとは地方の呼び方で「がけ」をいい、ここは青柳段丘のがけ下(はけ)から地下水が湧き出している所。少し下流に架かる道路橋の下で雨をしのぎ、昼食を取った。
 午後は、ママ下湧水と矢川、府中用水の合流地点へ=写真。そこは「矢川おんだし」と呼ばれ、隠れた撮影スポットとなっているらしい。近くの水田には、この辺りが神奈川県だったことを示す石標(レプリカ)が立っている。
ここからは、青柳地区で昨年発掘され全国的な話題となった縄文時代の大型石棒4本のうち1本を展示するくにたち郷土文化館、江戸時代後期の古民家(復元)に立ち寄り、中世の城館跡とされる城山(じょうやま)の空堀を歩いて、谷保天満宮を訪ねた。東日本最古の天満宮とされ、亀戸天神社湯島天満宮と合わせて関東三大天神と呼ばれるそうだが、目的は境内の外れにある、枯れたことがないとされる湧水「常盤の清水」。江戸時代に訪れた僧が詠んだ歌からの命名と伝えられるが、水量は豊かと言えそうになかった。
(行程は、多摩都市モノレール柴崎体育館駅に午前10時集合、JR南武線谷保駅前で午後2時40分ごろ解散、約10キロ)
※下の写真は左から、府中用水の取り入れ口、谷保天満宮の「常盤の清水」
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