「屋敷林の知恵を未来に生かそう」 石井教授講演

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 「西東京市の屋敷林を考える」と題する講演会が7月8日、柳沢公民館であり、講師の石井正己東京学芸大教授=写真=は、「屋敷林の知恵を生かし、20万人都市・西東京の未来を模索したい」と述べた。

 屋敷林の会(萩原恵子代表)が主催し、約50人が参加した。

 石井氏は西東京市在住で、民俗学者柳田国男とその著書「遠野物語」などの研究で知られ、戦前、旧保谷市にあり国立民族学博物館大阪府吹田市)の原点となった民族学博物館の掘り起こしにも携わっている。

 石井氏は、1952年に東京都北多摩中学校長会が作成した「郷土北多摩」が、国木田独歩の「武蔵野」の一節から雑木林の特色を紹介し、大町桂月の紀行文を引用しては屋敷林の防風効果や薪・肥料作りなどの効用が詳しく解説されていることを説明。郷土読本ができた時点では「屋敷林」が強く意識されており、都市化の進行による屋敷林の減少が惜しまれていると指摘した。

 現在の状況については、屋敷林は個人の資産であるため文化財指定が難しい半面、保谷を代表する少なくとも13軒の旧家が屋敷林を残していることから、市民全体で考えるべき課題であるとしながらも、「(屋敷林は)新旧両方の住民の拠点となりうる」と話した。