朝は冷え込んだが、日中は「広く晴れて絶好のお花見日和」の予報通りとなった。寒い天気が続いたおかげで、ソメイヨシノは満開の状態が長持ちしているか、せいぜい散り始めといった程度だった。
見下ろした手前はJRの線路、その向こうに外堀。児童遊園の遊歩道はJR四ツ谷駅麴町口付近に下りるまで続く。満開の桜並木もほとんど絶えることない。何カ所かで、ブルーシートを敷いた上に1人で座るスーツ姿の若い男性がいた。こんなに早くから職場の花見の場所取りとは…。
四ツ谷駅前の交差点を渡り、桜の続く土手道を進み、ホテルニューオータニの日本庭園を抜けて弁慶濠(べんけいぼり)を渡る。都道府県会館でトイレ休憩を取り、国立国会図書館から憲政記念館へ。
憲政記念館前庭(国会前庭の北庭)はこの日の1番目の目玉。これまでの華やかなスケール感と違い、小ぶりなものが目立つが、数多くの品種が楽しめる。半世紀前から日本さくらの会が毎年植樹をしていて、35種、約150本あるという。
「におい桜」の代表とされるスルガダイニオイ(駿河台匂)は満開とあり、順番に枝先の花に鼻を寄せて芳香を確かめ合った。ヤエベニオオシマ(八重紅大島)やシダレヤマザクラ(枝垂山桜)、ケンロクエンクマガイ(兼六園熊谷)なども満開。まだつぼみや咲き始めのものもあった。
見物客は不思議なほど少ない。レストランなどでの昼食を含め1時間半近くを過ごした。
三宅坂交差点から内堀通りへと10分ほど歩くと、第2の見どころ、国立劇場前庭。小ぶりな花が散り始めている桜が真っ先に目に飛び込んできた。地表付近の樹名板に学名のコマツオトメ(小松乙女)と簡単な説明文が書いてあった。
早咲きのクマガイザクラ(熊谷桜)は葉桜になり、八重のカンザン(関山)の開花はこれからだが、白い大輪のスルガザクラ(駿河桜)、都立神代植物公園で栽培するジンダイアケボノ(神代曙)と希少種を含む多くが満開か散り始めでタイミングに恵まれた。
国立劇場は「さくらまつり」のチラシ(裏は英語版)を作り観劇以外の人にも足を運んでもらおうとPRしており、千鳥ヶ淵公園に近いこともあって、見物客の姿は多い。桜の見ごろに合わせて、3月いっぱいだった祭りの期間は4月7日まで延長された。
締めくくりは全国4位の花見の名所といわれる千鳥ヶ淵。内堀通りの半蔵門付近から千鳥ヶ淵交差点までの千鳥ヶ淵公園、戦没者墓苑から靖国通りまでの千鳥ヶ淵緑道を抜けた。観光客は圧倒的に外国人が多く、立ち止まって写真撮影する光景もあちこちに。