観光客まばら 法隆寺・薬師寺…のんびり散策 奈良定期観光バス

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1世紀ぶりの解体修理を終え、落慶法要を待つ薬師寺東塔=3月2日


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法隆寺の中門前。観光客は少ない=3月2日午前11時ごろ

 

 新型コロナウイルスの感染拡大さなかの3月1、2日に奈良旅行を敢行した1970年入社同期会は2日目、奈良交通の定期観光バスに乗った。

 

 同期会とはいえ、札幌組の2人は別行動をとり、バスに乗るのは首都圏組の2人だけ。7500円の1日コースを予約していた。前日、近鉄奈良駅前の観光バス案内所で聞くと、客は私たち2人だけということだったが、当日、熊本から来た高齢の女性客が1人増えた。

 

 それにしても40人乗りのバスに乗客3人とは…。はじめは居心地の悪さのような感覚もあったが、ガイドさんは車内外で楽しい雰囲気づくりと丁寧な説明に徹してくれた。寺の境内はどこも人の姿が少なく、十分に質問することができた。

 

 バスは近鉄奈良駅前を午前10時に出発し、午前中は法隆寺中宮寺、午後は慈光院薬師寺唐招提寺をゆっくり巡り、車窓から平常旧跡の朱雀門を見て予定通り5時ごろ、JR奈良駅前に着いた。

 

 仏像や伽藍(がらん)は、薄れた昔の修学旅行の記憶を上書きできた。110年ぶりに解体修理された薬師寺の東塔は、落慶法要を待つばかりというタイミングに恵まれ、西日に映える姿を見せてくれた。

 

 法隆寺門前のレストランでは、柿の葉ずしなどの郷土料理を詰め合わせた弁当(要予約、別料金1千円)をおいしく食べた。友人はセットのうどん鍋に「本当に関西のうどんはうまいな」。慈光院では風情のある庭園を眺め、住職の話に引き込まれながら作法抜きで抹茶のもてなしを受けた。

 

 「来てよかった」。何度も同じ言葉を交わす古都の旅だった。