冬の強風から家屋敷を守り、夏は日陰をつくる屋敷林=写真右は富士町=が、西東京市内でも徐々に姿を消している。緑の保全を考える立場から、市民活動団体は新たな取り組みに屋敷林を取り上げた。市教委も民具展示のイベントを現地で行うことで多くの市民に屋敷林を知ってもらうことにしている。
高田さんは江戸時代から現代までの史料などから、武蔵野が秋から冬の間強風に吹きさらされる中で、下保谷(西東京市)や柳窪(東久留米市)、小川(小平市)、三富(さんとむ=所沢市・三芳町)を例に、村の成り立ちや農家の屋敷構えなどについて解説し、約40人が聞き入った。屋敷林はケヤキやカシなどの木、カキ、梅、ユズなど果樹、竹林から成り、建築用材や生活用具、食料、堆肥など広く利用される。
自然を見つめる会はさらに「屋敷林の姿と役割」をテーマとする講座を12月1日午後2時から田無公民館で開き、より知識を深めてもらう。講師は、下保谷4丁目にある高橋家屋敷林の維持管理などをボランティアで行っている「屋敷林の会」会長の小川武廣さん。
一方、市教委は東京都の東京文化財ウイークにちなみ、「屋敷林とむかしのくらし~装う・食す・住まう~」と題するイベントを11月3日(悪天候のときは4日に順延)、高橋家の屋敷林の中で行う。保谷の庶民が1960年代ごろまで使っていた民具、農具を展示するほか、午前11時から林知子・群馬大名誉教授のミニ講演会「民家について」がある。(下の写真は左から講演する高田賢さん、保谷町の屋敷林)