庁舎統合 市民意見を新たに検証 市が報告会

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 田無・保谷の市庁舎統合を検討している西東京市は8月3日、「なぜ、庁舎統合が必要なのか。」と題する検討状況報告会を田無庁舎で開いた=写真。
 
 4月から5月にかけて市内11カ所で行った「庁舎統合方針(素案)」の市民説明会で丁寧な情報提供を求める声が多かったため、ほぼ同時期に行ったパブリックコメント(意見公募)と合わせて意見の概要と、市民意見にあった「田無庁舎の耐用年数を考慮した方法」についての検証が新たに示された。
 
 市民説明会の参加者数は合計95人で意見は225件。1カ所の参加者数が最多だったのは芝久保公民館の21人、最少は3人で、11カ所中9カ所が10人未満だった。パブリックコメントを寄せたのは28人、意見64件。
 
 意見全体の内容別内訳は(1)市民参加17.3%(2)庁舎位置16.6%(3)現庁舎12.1%―などの順となっている。
 
 市はこれまで統合の時期について「2023年度までに統合庁舎に移転完了」、統合庁舎の位置は「田無庁舎、保谷庁舎、新たな用地の3案から」の方針を示している。これに対し、市民からは統合の大きな根拠となっている保谷庁舎の老朽化にばかり目を奪われずに、約20年の耐用年数を残す田無庁舎を活用する別の方策も考えられるのではないか、との声があり、市は検証結果を明らかにした。
 
 それによると、保谷庁舎を改修などによって延命させようとすれば、30年の寿命を持たせる長寿命化の1年当たりコストは約1億3700万円、10年間持たせる改修で同約1億2200万円、50年間使える建て替えは同約8100万円と試算。3つの方策では建て替えが最も財政効果は高いが、2庁舎体制の課題である職員の重複配置などの財政負担は続くことになり、その負担額は建て替え後の50年間で約62億円となるとした。
 
 また危険性のある保谷庁舎は取り壊し、現有の機能は防災・保健福祉総合センターやエコプラザなどを活用し、敷地に収まらない部署は田無庁舎やイングビルなどに配置するという暫定的な方策についても検証。新庁舎の建設時期を先延ばしできたり、両庁舎で基礎的な窓口サービスが提供できたりすると利点を挙げる一方で、業務や市民サービスへの影響、改修コストの試算など、さらに検証しなければならない課題が多いとした。
 
 市はこの日、28人分の資料を机の上に置いたが、参加者は17人だった。質疑応答では、市民説明会の参加者数の少なさと併せ、「資金調達のための市債に関連した市民負担などお金の観点を入れて説明すれば市民は関心を持つのではないか」と提案が出るほどだった。
 2庁舎体制のデメリットとして強く打ち出されている職員の重複配置など年間1億2500万円とされる財政負担には「市民がサービスを受けており、無駄なカネではない」などの意見も出ていた。
 
 同じ報告会は8月23日午前10時から保谷庁舎4階でも開かれる。