
VRは川、ムラ、森、空の4つのコンテンツからなり、台地下の石神井川を上ってきた丸木舟を家族が迎える光景や、ジャンプすると鳥のように上空から集落全体を眺めたりすることができる。縄文の森では主食のクリや衣服の原料の繊維を取るカラムシなどの植物を見た。
当時は海が内陸部まで入り込み、シジミを中心とする貝や魚に恵まれ、建て替えた住居跡に貝殻が捨てられた。水子貝塚公園はこうして作られた貝塚の場所がわかるように表示され、竪穴住居も5棟を復元。直径約100メートルの公園の周囲は縄文時代と同じ樹種が取り囲んで茂り、現代の建物を隠している。
公園の一角にある展示館に入ると、住居跡の発掘により貝層に埋葬されていた人骨が見つかった状況が再現され、貝塚の断面をはぎ取った実物も見られる。公園で、展示館で、館長が丁寧に説明してくれた。
貝塚公園で弁当を食べ、次に訪れたのは東村山市の東村山ふるさと歴史館。通史的な展示物を一通り見てから、東京都が史跡に指定する下宅部(しもやけべ)遺跡に行き、亀田さんの解説を聞きながら、最重要地点を埋蔵保存する遺跡広場「はっけんのもり」を歩いた。
ここは縄文後期から晩期(約4千~2300年前)と古墳時代から中世にかけての低湿地遺跡。縄文時代の後・晩期に作られた漆塗りの弓などの木製品や土器などの遺物が多く出土しており、これらを収蔵・展示する「八国山たいけんの里」では、特別にケースのガラスカバーを開けてもらい、じかに漆の色を見ることができた。
参加者たちはこの後、ツアーを振り返り、印象に残ったことや下野谷遺跡について「遺跡に近い所に展示施設が必要」「若い人向けに情報発信を」「ガイドなどのボランティアを育てる」などと意見を述べた。(下の写真は左から下野谷遺跡公園でのRV体験、東村山市の「八国山たいけんの里」に展示されている弓などの漆塗り木製品)

